大阪地方裁判所 昭和61年(ヨ)3623号
申請人
市原喜好
同
佐々村忠夫
同
新井末吉
同
市原喜與明
同
増田肇一
同
宮崎安満
同
吉村良一
同
石山勇
同
柳承運
右申請人ら代理人弁護士
西川雅偉
同
後藤貞人
同
里見和夫
同
三上陸
同
中道武美
同
高野嘉雄
同
下村忠利
同
北本修二
同
菊池逸雄
同
近森土雄
被申請人
ナニワ生コン株式会社
右代表者代表取締役
藤中正夫こと
姜彰鍋
右代理人弁護士
宮崎定邦
右当事者間の頭書仮処分申請事件につき、当裁判所は、当事者双方を審尋のうえ、申請人らに保証を立てさせないで次のとおり決定する。
主文
一 被申請人は、申請人ら各自に対し、別紙賃金目録(一)記載の金員を仮に支払え。
二 訴訟費用は、被申請人の負担とする。
理由
(当事者の求めた裁判)
一 申請の趣旨
主文同旨
二 申請の趣旨に対する答弁
1 申請人らの申請をいずれも却下する。
2 訴訟費用は申請人らの負担とする。
(当事者の主張)
一 申請原因
1 当事者
(一) 被申請人(以下「被申請会社」若しくは「会社」という。)は、従業員二三~四名を雇用して生コンクリート(以下「生コン」という。)の製造販売事業を営む株式会社である。
(二)(1) 申請人らは、いずれも被申請会社と雇用契約を締結し、会社所在地内の生コン整造工場において、申請人宮崎は場内係、同石山はプラントオペレーター、その余の七名は生コンクリートミキサー車(以下「生コン車」という。)の運転手として稼動している。
(2) 申請人らは、いずれも全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部(以下「連帯労組」若しくは「組合」という。)に加盟している組合員であり、被申請会社において、申請人ら九名でナニワ生コン分会(分会長は申請人市原喜好である。以下「分会」という。)を結成している。
2 ロックアウト
被申請会社は、昭和六一年七月二六日から同年九月二九日までの間、申請人らが就労態勢をとっていたにもかかわらず、ロックアウトを宣して申請人らの就労を拒否し、この期間の賃金を申請人らに支払わない。
3 賃金
(一) 被申請会社では、申請人らの賃金は、前月二一日から当月二〇日までの分を当月二五日に支給する方法により支払われてきた。
(二) 申請人らの月額賃金の平均手取額(所得税等の各種公的負担及び昼食現物支給分を控除したもの)は、別紙賃金目録(二)「(イ)」欄記載の金額である。
(三) 被申請会社は、同年八月二五日、申請人らに対し同目録(二)「(ロ)」欄記載の金員(各種控除後の金額)を八月分給与として支払った。
(四) そうすると本件ロックアウト期間中の賃金は、八月分賃金から(三)記載の金員を控除した額、九月分賃金及び九月二一日から同月二九日までの賃金(平均賃金を日割計算)を合算した同目録(二)「(ハ)」欄記載の金員となる。
4 仮処分の必要性
申請人らは、労働者として賃金を生計の唯一の資としており、被申請会社から月々の賃金が支払われなければ申請人ら及びその家族の生活が破綻することは明らかである。
よって申請人らは、被申請人に対し、雇用契約による賃金請求権に基づき、昭和六一年七月二六日から同年九月二九日までの賃金のうち、必要性の高い別紙賃金目録(一)記載の金員の支払いを仮に求める。
二 申請理由に対する認否
1 申請理由1及び2の事実はすべて認める。
2 同3の事実のうち、(一)は認めるが、(二)ないし(四)は争う。
3 同4の事実は争う。
申請人らはロックアウトが解除された後も、同年一一月一二日までの間は就労しようとしなかった。自己の計算において就労しなかった申請人らが、それ以前のロックアウト期間中の賃金の仮払いを求める必要性があるとは考えられない。また申請人らは一一月一三日からは平常どおり就労して賃金を得ているのであるから、仮払いの必要性は消滅した。
なお本件仮処分が認容されるならば、会社は現に使用中の生コンプラント等を松尾洋瓦株式会社(以下「松尾洋瓦」という。)に返還せざるをえなくなり、即刻倒産に追い込まれることとなる。
三 抗弁
1 被申請会社の経緯及びその業績
(一)(1) 被申請会社代表取締役の藤中正夫こと姜彰鍋(以下「藤中」という。)は、従前から「浪速建資産業」という商号のもとで建築資材の販売事業を個人で営んでいる(以下「浪速建資」という。)。
(2) 藤中は、昭和五六年八月、その取引先である株式会社マツオ(以下「マツオ」という。なお当時の会社名は「マツオ生コン株式会社」)から生コンの製造販売に関する営業譲渡の申し出を受け、同時にそれに付帯する生コンプラント等についてはその所有者である松尾洋瓦から賃貸の申し出がなされたので、被申請会社を設立して生コン事業を営むこととした。そして同年一一月二一日、設立中の被申請会社(発起人代表藤中)は、マツオから生コン事業の営業譲渡(従業員も承継)を受けるとともに、松尾洋瓦から期間三年の約定のもとに、被申請会社所在地の生コンプラントを賃借し、事務所及び自動車を無償で借り受けた。
(3) 被申請会社は、同年一二月一二日「株式会社フジナカ」という会社名で設立され、同月二一日その会社名を「マツオ生コン株式会社」に変更したうえで、マツオが許可を受けていた日本工業規格の表示(以下「JIS表示」という。)を利用して、生コンの製造販売事業を始めた。
(4) 被申請会社は、昭和五九年一二月松尾洋瓦との生コンプラント等の賃貸借及び使用貸借を更新し、同六〇年一二月には会社名を現在のものに変更した。
(二)(1) 被申請会社の営業成績は、昭和五八年度(同五七年九月一日~同五八年八月三一日)にこそ利益をあげたものの、その後の年度はすべて損失を計上している。
(2) 特に昭和六〇年一一月には、マツオが、被申請会社の利用していた生コンのJIS表示を、被申請会社に断りなく一方的に返上したため、被申請会社は、新たにJIS表示許可を取得した同六一年六月二五日まで、JIS表示のない生コンを製造販売せざるを得なくなり、出荷実績が急激に下降し、業績は大きく低下した。
(3) また、松尾洋瓦は、生コンプラント等の賃貸借及び使用貸借につき、昭和六二年一一月の期限を待って終了させる(更新拒絶)との意思を通告してきており、被申請会社としては、他所に工場を求めるにしても、あるいは再度更新を懇願するにしても、多大の出費が必要となる事態を一年後には迎えようとしている。
2 賃上げ交渉の経過
(一) 被申請会社には、連帯労組の本件分会以外に、労働組合としては全日本運輸一般労働組合関西地区生コン支部ナニワ生コン分会及び全日本港湾労働組合関西地方大阪支部生コンブロックナニワ班が存在する(以下これらの組合を「別組合」という。)。
(二)(1) 右三組合は、昭和六一年三月四日、同年度の賃金の引上げ及び一時金の要求(ちなみに連帯労組の要求額は賃金引上げ月額三万円、一時金年間一五〇万円)を被申請会社に示した。
(2) 会社は、直ちに各組合と団交を持ったが、前記1の事情により同社の業績が悪化していることを理由にその要求には応じかねる旨を示したが、各組合が理解を示さなかったので、各組合に対し、同社設立以来の経理資料を公開した。
(3) その結果別組合とは、賃金引上げ額を零とし、一時金を年間七五万円とすることで合意を見たが、連帯労組は、会社の業績を無視した高額の要求に固執するとともに、さらに不必要とも見えるその他の経理資料の公開を迫まり、そのうえ団交の席上で会社側に対して民族差別的発言を浴びせたこともあって、会社と連帯労組との交渉は七月にずれ込んだ。
(4) ところで藤中の経営する浪速建資においても連帯労組員が雇用されており、それらの者との賃上げ交渉も継続して行われていたのであるが、同年七月一七日、被申請会社及び浪速建資と連帯労組との間で団交が持たれ、その席上ではもっぱら浪速建資のベースアップ問題が討議されたが、浪速建資の交渉担当者(被申請会社の交渉担当も兼ねている)が、入院中の藤中が退院するまで浪速建資の有額回答を待ってほしい旨述べたところ、連帯労組は浪速建資に対してのみならず、被申請会社に対しても一方的に団交決裂を宣言した。
3 争議行為
分会は、同年七月一八日、無期限の争議行為を行うと会社に通告し、本件ロックアウトに至るまでの間、次のような争議(以下「本件争議」という。)を行った。
(一) 七月一八日全面ストライキ
(二) 七月二一日から同月二四日 組合側のいういわゆる順法闘争
(1) 法定速度遵守
生コン車をことさら低速度で運転(いわゆるノロノロ運転)する。
(2) 食事休憩時間の完全実施
会社では、午前一一時三〇分から午後〇時三〇分までが昼食休憩時間、残業がある場合には午後五時から同六時までが夕食休憩時間とされているが、生コン車の出庫に際して、午前一一時三〇分あるいは午後五時までに会社に帰着できないと分会員が判断したときは、その運転(出庫)を拒否し、またいったん出庫しても、右時刻までに帰着できないと判断したときは、生コン車を現場に放置して組合員のみが会社に戻ってくる。
そのため、帰着時間が微妙と思われるときは、管理職が別の車で生コン車に同伴し、また放置された場合には管理職がこれを迎えに行くという途をとらざるをえなかった。
それにそもそも労働協約では「業務の都合により休憩時間の中途又はその後に帰着した場合には、帰着後一時間の休憩を与える」こととされており、したがって運転手が休憩時間に喰い込むことを理由に運転を拒否することは許されないのである。
(3) 過積載の拒否
生コン車の運転手は、通常四トン車に二立方米の生コンを積載運搬しているが、順法闘争突入後は一・七五立方米の生コンしか積載しない。
確かに四トン車の生コン積載量は一・七五立方米と法定されているが、過去の実状(四トン車に二・五立方米積載)から比べれば大幅に改善されており、警察の取締りも〇・二五立方米の過積載程度であれば見逃がす運用がされているうえ、積載量の多寡によって運転手の労働条件が変容を受けるものではない。
(三) 七月二五日
(1) 分会は、同日午前一〇時ころ、突如ストライキを会社に通告した。
(2) 申請人らは、会社従業員以外の連帯労組員多数とともに生コン工場の構内になだれ込み、街頭宣伝車(以下「宣伝車」という。)三台を工場の出入口に駐車させて、生コン車の出庫を妨害した。
(3) 会社は一時間半にわたって業務妨害をやめるよう組合を説得したが、組合がこれをやめようとしなかったので、やむなくショベルローダーを用いて右宣伝車を排除しようとしたところ、組合側はショベルローダーによじのぼって運転手をひきずり出したり、暴力を振ってこれを阻止し、結局午後三時ころに組合が自ら引き上げるまで、暴力的に会社の業務を妨害した。
4 本件争議による会社の損害
申請人らの争議行為によって、会社の正常な業務運営は著しく阻害され、会社は日雇乗務員を雇用してこれの回復に努めたが、結局七五〇万円相当の出荷減少(七月二五日は一日だけで約三〇三万円相当の出荷減少)となり、莫大な損失を被った。
5 連帯労組の真意
連帯労組の関西地区生コン支部は、従来から企業の実情を無視した闘争至上主義でなにがなんでも経営者を屈伏させて金銭をせしめるという犯罪的行為を重ねてきている(これが故に全日本運輸一般労働組合を脱退させられている。)ところ、本件分会は、マツオ及び松尾洋瓦(以下両社あわせて「松尾グループ」という。)が再度生コン事業を営むために被申請会社の倒産ないしは藤中の追い出しを画策しているのに加担して、被申請会社の経済的行き詰りを助長することをも目的として、本件争議に及んだものである。
6 ロックアウトの正当性
以上のような状況のもとにおける分会の争議行為により、会社の業績が著しく低下し、このまま放置すれば損害が異常に拡大して会社の倒産は必至であると見られたことから、分会との勢力の均衡を回復するために、会社は対抗防衛手段としてやむなくロックアウトを敢行せざるをえなかったのであって、その正当性は明らかである。
四 申請人らの反論
1 交渉経過
(一)(1) 抗弁2の事実のうち、(一)及び(二)(1)は認める。(二)(2)のうち要求呈示後団交を重ねたことは認めるが、その余は否認する。会社は経理資料を分会に公開したというが、単に数枚の手書きのメモを示したにすぎず、そのコピーも拒否し、また組合が強く要求したにもかかわらず、償却資産の内容も説明せず、生コン材料の仕入価格も明らかにしなかったのであって、経理公開とは到底いえなかった。
(2) 同(二)の(3)及び(4)はいずれも否認する。組合は会社と団交を重ねたが、何ら進展が見られなかった。七月一六日、会社側の交渉担当者から、同月一七日に解決へ向けて回答する旨の態度表明がなされた。ところが七月一七日の団交(浪速建資との合同交渉)において、会社側出席者は、「一時金は年間七〇万円台、賃金については入院中の社長が退院するまで数日待たれたい」と述べたので、これに対し組合は、それまでの経過に照らすと余りにも不誠実で回答になっていないとして、右回答を拒否し、会社には誠意がないものと判断し、交渉は決裂したのである。会社の回答は同業他社に比べて極端に低額である。組合は使用者側の回答に誠意がみとめられる場合には、当初の要求に固執することなく、それより低額であっても柔軟に対処しているのである。
(3) 昭和六〇年度の賃上げ及び一時金交渉においても、会社は同業他社と比べて低い賃上げ幅に固執し、年間一時金に至っては同業他社との妥結額を二〇万円前後下廻る七七万円の低額回答を譲らず、同年冬期一時金については三五万円が仮払いされただけで、妥結には至っていないのである。
2 争議行為
(一) 抗弁3の事実のうち(一)は認める。なおこの日は就労を拒否しただけであってピケッティング等の積極的な争議行為は行っていない。
(二) 同(二)のうち、七月二一日から遵法闘争を行ったことは認める(ただし、七月二一日は降雨のため出荷がなかった。)が、その態様については否認する。
(1) 法定速度遵守
法定速度を遵守して生コン車を運転するだけであって、それより低い速度で走らせるわけではない。
(2) 休憩時間の完全実施
午前一一時近くあるいは午後四時三〇分近くでの出荷は、客観的に見て休憩時間までに帰着することが不可能なので乗務を拒否したが、それ以外の場合はすべて乗務していた。また休憩時間までの帰着が微妙な場合には、あらかじめ会社に代替要員の手配を依頼したうえで乗務したり、生コン車備え付けの無線機で会社に代替要員の手配を依頼し、代替要員と交替して会社に帰着するのであって、会社への連絡なしに生コン車を現場や路上に放置したことはない。
(3) 過積載の拒否
そもそも運転手は一・七五立方米を超える生コンを積載した生コン車に乗務すべき義務はないのであるが、労使関係が正常な場合には、過積載を黙認する形で乗務して会社に協力しているにすぎないのである。したがって、労使関係が破綻した場合には、過積載に協力する前提がないので、過積載に協力しないだけにすぎない。
(4) 分会は遵法闘争期間中も残業に応じていたし、会社は分会員に対して近距離現場への出荷を集中的に指示したので、むしろ申請人らは、他の従業員よりも多数回乗務したのである。
(三) 同(三)のうち、(1)は認めるがその余は否認する。
組合は当日午前一〇時ころ会社に対しストライキを通告した。組合は当初宣伝車二台を工場構内に入れて抗議宣伝活動を展開するとともに門前でピケッティングを行った。ところが会社がスト破りの動員部隊約五〇名を集結させて、構内にいた組合員を暴力的に構外へ排除しようとしたためこぜり合いとなったが、組合は衝突を避けるという観点から自主的に構内から退去し、門前ピケの体制を整えた。これに対し、会社の動員部隊は、門前で逆ピケを張って組合側と対峙し、宣伝車の前にショベルローダーを置いて威嚇した、午後〇時四〇分、会社はハンドマイクで強圧的に宣伝車の門前からの立退きを要求し、組合がこれに応じなかったところ、ただちにショベルローダーを発進させ、門前の組合員の中に突入し、さらに二台の宣伝車に衝突体当りを敢行してこれらの宣伝車を実力で門前から排除(その結果宣伝車はいずれも大きな破損を被った。)するとともに、動員部隊は組合員らに暴力を振って多数の者を負傷させた。
七月二五日の状況は右のとおりであり、会社側の対応は終始暴力的且つ常軌を逸した驚くべきものであったのである。
4 会社の損害
(一) 会社の出荷数量はむしろ増加傾向にあり、七月分も前月分より増加している。
(二) 分会員の順法闘争期間中の乗務状況は前記のとおりであり、この期間中に仮に会社の出荷実績に落ち込みがあったとしても順法闘争との間に因果関係はない。日によっては別の原因で割当数量を達成できない場合もままあることなのである。
(三) 会社が加盟する北大阪阪神地区生コンクリート協同組合(以下「北大阪協組」という。)は、傘下の各業者が共存することを目的として各業者のシェアーを定め(ちなみに被申請会社の割当シェアーは二・四九三%である。)、それに基づき出荷調整を行っている。そしてストライキ等の事由により、ある業者の出荷実績が減少した場合には、「赤黒調整」すなわちシェアーを下廻った分について金銭による精算(一立方米あたり三〇〇〇円)または出荷割当量の増加を行う方法により、定められたシェアーが確保されるよう操作がなされている(以下「赤黒調整システム」という。)。したがって本件争議によって会社の出荷実績が減少したとしても損害は後日填補され、会社が倒産を覚悟せざるをえないような状況に至ることはありえない。
5 連帯労組の真意
抗弁5の事実は否認する。申請人らにとって重要なのは安定した職場であるから、職場の混乱が必至の倒産など望むはずがなく、松尾グループと結託したような事実はない。
6 会社の組合に対する姿勢
(一) 会社は、昭和六〇年八月一三日組合に対し、従前の労働協約を一方的に破棄する旨の意思表示を行い、その後組合の申し入れに対して誠意ある対応をしないまま、同年一一月一三日無協約状態である旨の通告を行ったのである(ただし同六一年三月二六日会社は各通告を撤回した。)。
(二) 会社は、このように組合に対し敵意を持ち、常に攻撃的姿勢を示しているのであって、本件ロックアウトもその表れに外ならない。
7 ロックアウトの不当性
本件争議は、ストライキが二日、順法闘争が四日にすぎず、順法闘争期間中も申請人らは労務に従事していたのであり、申請人ら以外の従業員及び会社が動員した代替要員も通常どおり勤務していたのであるから、争議によって労使間の均衡が破れ、使用者側が著しく不利な圧力を受ける状況にあったとはいえない。むしろ本件ロックアウトは、組合の争議行為に対処するための措置というよりは、分会員を職場から完全に排除し、ロックアウト期間中の賃金の支払いを免れ、他の従業員及び管理職を労務に服させて会社の利益を確保するとともに、暴力的制圧によって分会に打撃を与え、組合の弱体化を図るなかで、会社に有利な解決を導こうとしたものであって、先制的、攻撃的なものであったといわざるをえない。したがって本件ロックアウトの不当性は明らかである。
五 被申請人の再反論
赤黒調整システムが存することは認めるが、それによって損害が填補されることは否認する。すなわち赤黒調整システムによる金銭精算では、生コン一立方米当り三〇〇〇円が支払われるにすぎず、実際に出荷した場合に挙げる利益(一立方米当り五〇〇〇円)と比べても低い額であるし、平常の人件費等の支払いは当然免れるものではないから、このシステムがあったとしても会社は多額の損害を回避することはできないのである。
(当裁判所の判断)
一 申請原因1(当事者)及び同2(ロックアウト)の事実は当事者間に争いがない。
二 そこで本件ロックアウトの正当性について判断する。
1 会社の経緯及び業績
(一) 疏明資料によれば、抗弁1の(一)(会社の経緯)の事実が疏明される。
(二)(1) 被申請会社は、昭和五九年度以降慢性的な業績の低迷にあえいでいたと主張する。
(証拠略)の貸借対照表には、被申請会社が、昭和五九年度に約二三四八万円、同六〇年度に約二一九六万円、同六一年度に一五二九万円の各損失を計上し、同年度の決算期(同年八月三一日)には約五九三五万円の累積損失を計上した旨の記載がある。しかしながら、被申請会社は、昭和六一年九月二二日付準備書面において、「被申請会社が着実に営業成績をあげている」と主張し、また(証拠略)(聴取書)には、被申請会社代表者藤中が被申請会社代理人に対し、「当社が着実に営業成績をあげている」と供述したことが記載されている。これらの点に照らすならば、被申請会社において、この三年間北大阪協組によって被申請会社に割り当てられたシェアーを充足するに足る出荷量をあげえなかったこと、若しくは北大阪協組傘下の各生コン業者が構造的不況に陥っていたこと等の被申請会社が業績不振にあったことを疏明するに足る具体的資料の提出がない以上、被申請会社の業績は、昭和六〇年一一月のJIS表示返上以前は、順調に推移してきたものと推認するほかない。
(2) 疏明資料によれば、抗弁1の(二)(1)(JIS表示返上による業績の低下)の事実が疏明される。
ちなみに会社は資本金二五〇万円、昭和六〇年度の売上高七億五〇〇〇万円の中小生コン業者である(一件記録により疏明される。)ところ、(証拠略)によれば、JIS表示のない生コンを出荷せざるをえなかった昭和六一年一月から六月までの間の累積出荷減少量(北大阪協組により会社に割り当てられた出荷量から出荷実績を控除)は四九七二立方米にのぼり、その割当出荷量に占める出荷減少率は約一九・五%であったことが疏明され、したがって、生コン一立方米の売値が一万三三〇〇円であること(<証拠略>)をあわせて考慮するならば、右出荷減少量に相応する売上減少相当額は六六〇〇万円余りとなる。
さりながら、(証拠略)(損益計算書)によれば、売上にしめる原材料費(出荷が減少すればその量に応じて当然に支出を免れる種類のものである。)の割合は五五%前後であることが疏明され、また抗弁に対する申請人らの反論4の(三)(赤黒調整システム)の事実は当事者間に争いがなく、これに(証拠略)を総合すれば、出荷の減少に対してはまず割当量の増加による出荷調整が行われ、これでまかない切れない部分については一立方米当り三〇〇〇円の調整金が支給(四月若しくは一〇月)されることが疏明されるのである。したがって、生コン一立方米の売上額(一万三三〇〇円)のうち、約七三〇〇円相当の原材料費は支出を免れ、三〇〇〇円の調整金が支給されるので、その損害は約三〇〇〇円程度であるが、このなかには営業利益も含まれていることを考慮すると、金利が嵩むことを考慮に入れても、右期間の出荷減少による損害(積極的損害)は、多めに見積もっても売上減少額の三〇%以内であったと推認される。
なお(証拠略)によれば、会社は六一年度においても、前年度と同額(一三二〇万円)の役員報酬を支出していることが疏明される。
(3) 疏明資料によれば、抗弁1の(二)(3)(賃貸借契約等の更新拒絶)の事実が疏明される。
2 交渉の経過
(一) 抗弁2の(一)(別組合)及び同(二)の(1)(要求額の呈示)の事実は当事者間に争いがない。
(二) 疏明資料によれば次の事実が疏明される。
被申請会社と会社内の三組合は、六一年春闘開始後個別に団交を始めた。会社は当初から業績の悪化により要求には到底応じかねる旨を各組合に表明したが、組合側の納得をえることが困難な状況であったため、各組合に対し、従来の労働条件(とくに組合用務の不就労に対する賃金支給、残業補償制度等)の変更をも交渉の対象とすることに同意を得たうえで、団交の席上(連帯労組は昭和六一年四月一六日)で、会社設立以来の経理資料(貸借対照表、損益計算書等の決算書類が中心)を公開した。しかしながら、連帯労組は、その求めにもかかわらず、会社がそれらの書類のコピーを許さなかったばかりか、仕入帳の公開や償却資産の内容説明に応じなかったことを理由に、これを経理公開とは認めなかった。その後も、大手生コン各社の交渉経過を見ながら各組合と会社の団交が重ねられるなか、六月中旬には会社側の正式回答「賃上げ零、年間一時金七五万円」が各組合に示され、七月下旬には会社と別組合との間で、年間一時金を七五万円とし、賃上げ及び労働条件変更については継続して交渉する旨の合意がなされた。他方会社と連帯労組との交渉は、経理公開についての紛議や、組合側交渉担当者(分会員ではない。)の不穏当な発言があったりしたため難航していたが、会社が前の回答額に固執して譲らず、また七月一六日に会社が組合に対し同月一七日の団交において最終回答を行う旨表明していたにもかかわらず、入院中の藤中に外出許可がおりなかったことを理由に同日の団交で最終回答を示さなかったことから、組合は交渉の決裂を宣言した。
(三)(1) (証拠略)によれば、被申請会社の賃金及び年間一時金の推移は左記のとおりであることが疏明される。
記
<省略>
(2) (証拠略)によれば、連帯労組と関西地区の他の生コン会社(一三社)との六一年春闘における妥結状況は、賃上げが五〇〇〇円から八〇〇〇円、年間一時金が九五万円から一〇〇万円であることが疏明される。
(3) 右(1)、(2)の点にかんがみれば、一月以後の会社の業績が不振であるとはいえ、組合として会社の回答額を容易に受諾しえないのはやむをえないところであるから、組合が交渉の打切りを宣言したからといって組合を一方的に責めることはできない。
3 争議行為
(一) 抗弁3の(一)(七月一八日のストライキ)の事実は当事者間に争いがない。
なお七月一九日及び同月二〇日は会社の休日であるから争議行為はなされなかった。
(二) 疏明資料によれば次の事実が疏明される。
分会は、七月二一日朝、順法闘争を行うことを会社に通告し、同月二四日までの間次のような争議行為を行った(ただし七月二一日は降雨のため出荷がなかったので、争議行為はなされなかった)。
(1) 法定速度遵守
生コン車に乗務した際、法定速度を遵守して運転する。
会社は、申請人らが極端なスローダウン運転を行ったと主張するが、これを疏明するに足る資料はない。
(2) 食事休憩時間の完全実施
午前一一時三〇分及び午後五時からの食事休憩時間を時間どおりに厳格に実施することである。
分会員が右時刻までに会社に帰着できないと判断したときは、出荷乗務前であれば生コン車への乗務を拒否したり、交替要員の手配を依頼したうえで乗務し、既に出荷乗務についておれば、同行してきた交替要員、あるいは生コン車備え付けの無線機で会社に連絡した結果会社から派遣されてきた交替要員と乗務を代わったうえで、他の車で会社へ帰着した。それゆえ会社は、休憩時刻の一時間前から、分会員乗務の生コン車への交替要員の手配を行う必要があった。
食事休憩時間をこのような方法で摂ることは、会社の加盟する大阪兵庫生コンクリート工業組合と連帯労組の統一協定(<証拠略>)に違反するが、それが争議行為として行われ、しかもその態様もおおむね消極的なものにとどまっていると解されるから、争議行為としての正当性の枠を逸脱しているとはいえない。
(3) 法定積載量の遵守
通常の場合は、会社は最大積載量四トンの生コン車(会社の保有する生コン車はすべてこの四トン車である。)に二立方米の生コンを積載し、分会員もこれを許容して生コン車に乗務しているが、順法闘争中はこれを拒否し、法規(道路運送車両法四二条、保安基準五三条、検査基準四条四一項五号参照。)にしたがい、一・七五立方米以上の生コンが積載された車両の運転を拒否することである。
会社と組合(及び分会)は、四トン車に二立方米の生コンを積載することを許容する協定(<証拠略>)を結んでいるが、この協定の法的拘束力については右法規に照らし疑問があり、またその態様も消極的であるから、争議行為としての正当性がある。
(三) 疏明資料によれば、次の事実が疏明される。
七月二五日午前一〇時ころ、順法闘争中の分会は突如ストライキの実施を会社に通告した。そして会社外の連帯労組員約六〇名とともに工場内に立ち入り、あわせて宣伝車も構内に立ち入らせたうえで、宣伝活動を行った。当時バッチャー内(生コン積込場所)には生コン車一台が入っていたが、会社側からこの一台だけは出荷させて欲しいとの懇請がなされたので、組合はこれを拒否した場合の会社の損害(このままの状態で出荷できないときは、生コンだけでなく生コン車のドラムまでもが使用不能になる。)を考慮してこれを認めた。その後会社は組合に対し構内からの退去を求めたが、組合がこれに応じようとしなかったので、数十名の人員を応援部隊として会社外から構内に呼び寄せ、その助けを借りて組合に対処した。その結果組合は構内から退去したが、一か所しかない工場出入口の門前に宣伝車二台を駐車させ、同所でピケッティング態勢を整えたうえで会社側と対峙した。この間、出荷は右一台を除いて全く不可能な状態であった。午後〇時すぎころから、会社は組合に対しピケッティングを解くよう説得したが、組合がこれに応じなかったため、ピケッティングを実力で突破して出荷する決意を固め、同〇時四〇分、ショベルローダーを先頭に宣伝車及びピケッティングの実力排除にとりかかった。まず一台目の宣伝車に対しては、正面からショベルローダーのショベルがバンパーに接触せむばかりに接近して威圧し、これを押すようにして一〇〇米後退させ(これにより宣伝車のバンパーが一部破損した。)、次いで二台目の宣伝車に対しては、その後部にショベルローダーの後部を衝突させ、そのまま押して門前から排除した(これにより二台目の宣伝車は後部に大きな破損を被った。)。この間会社側と組合側は現場で激しいもみ合いとなり、双方に怪我人数名が出た。会社側の実力行使により、組合の宣伝車は門前から排除され、ピケッティングも解除されたが、組合側はその後も現場付近に滞留し、また警察官も現場に臨場して採証活動を行っていたため、会社も平常の出荷態勢をとりえなかった。午後三時、組合側が現場から自主的に引きあげて、その日の争議行為は終了した(ただし、いうまでもなく分会は夕刻までストライキを継続した。)。
当日の争議行為には、抜打スト、分会員以外の組合員の職場滞留、妨害物(宣伝車)を用いたピケッティング・出荷妨害等の正当性を減殺する要素が含まれているが、全体的に観察すれば、これが正当な争議行為の枠を著しく逸脱しているとまではいえないものであった。
記
<省略>
4 会社の損害
(一) 疏明資料によれば、七月一八日から同月二五日までの本件争議期間中、会社は、六名ないし八名(ただし同月二四日は一名のみ)の日雇乗務員を雇用(ただし順法闘争期間中は毎日一時間程度)して出荷に努めたが、出荷は左記〔右表―編注〕のとおり減少した。
(二) 疏明資料によれば、会社の生コン運転手一六名のうち七名が分会員、その余は別組合員若しくは非組合員であることが疏明されるが、分会員以外の運転手は本件争議期間中も通常どおり就労していたのであるから、出荷妨害が行われた七月二五日はともかく、同月二四日の出荷減少は、本件争議だけではなく他の重大な原因が存在したことによるものと推認される。しかしその日以外の出荷減少は、本件争議期間中の分を含めた七月分の出荷減少量が七九八立方米にとどまっていること(<証拠略>)、及び会社が六月二五日にJIS表示許可を受けたことにより平常の出荷能力を回復していたことに照らすと、その原因の大半が本件争議に由来するものと考えられる。
5 連帯労組の真意
疏明資料によれば、松尾グループが再度生コン事業を開始せむがために、被申請会社及び藤中を生コン事業から撤退させることを企図している(もっとも、その手段方法が適法であれば、何ら法的非難に値するものではない。)ことが窺えないわけではないが、連帯労組がこれに加担して本件争議を敢行したことを疏明するに足る資料はない。
たしかに、本件審尋手続において、申請人らは、松尾グループの所持する文書(<証拠略>)を疏明資料として提出していること、及び(証拠略)によれば、松尾グループと分会が友好関係にあることが疏明されるが、そうだからといって、直ちに、連帯労組が右目的をあわせもって争議に及んだことが疏明されているとはいえない。
6 会社の労働組合に対する姿勢
疏明資料によれば、申請人らの反論6の(一)の事実が疏明される。これに加え、前記のとおり、会社が本件団交において労働条件の変更を議題として持ち出したことに徴すれば、その内容の当否はともかくとしても、会社が労働条件(とくに、組合用務の不就労に対する賃金支給、残業補償制度)の変更について強い意欲をもっていることが疏明される。
7 ロックアウトの正当性
(一) 個々の具体的な労働争議の場において、労働者の争議行為により使用者側が著しく不利な圧力を受けることになるような場合には、衡平の原則に照らし、労使間の勢力の均衡を回復するための対抗防衛手段として相当性を認められる限りにおいては、使用者の争議行為も正当なものとして是認されると解すべきであり、使用者のロックアウトが正当な争議行為として是認されるかどうかも、右に述べたところに従い、個々の具体的な労働争議における労使間の交渉態度、経過、組合側の争議行為の態様、それによって使用者側の受ける打撃の程度等に関する具体的諸事情に照らし、衡平の見地から見て労働者側の争議行為に対する対抗防衛手段として相当と認められるかどうかによってこれを決するのが、確定した判例理論である。
(二) そこで、右の見地に立って、本件ロックアウトの正当性を判断するに、本件ロックアウトは、一月以来の業績不振(売上の二〇%低下)を脱却する途についたばかりの会社が、本件争議を受けて、業績の回復を図る目的のもとに開始したものであるが、交渉態度、交渉の経過、争議行為の態様において、組合にも一部不相当な点(とくに実力による出荷妨害)があったとはいえ、会社の対応に比し、組合が一方的に非難されなければならないとまではいえず、争議期間中(七月二五日を除く)も会社は分会員以外の従業員及び日雇乗務員を使用して六月以前と同程度の業績をあげ得た状況にあったのであり、七月二五日に展開されたような積極的争議行為が、散発的にはともかく、短期間のうちに繰り返して実施される可能性は組合及び分会の力量から見て小さかった(組合に動員力があれば、ロックアウト後といえども連日若しくは数日おきに繰り返されたと推認される。)のであるから、ロックアウト開始時点において会社が倒産を目前に控えていたとは考えられず、結局のところ本件争議により会社が「著しく」不利な圧力を受けていたとは解しえず、したがってロックアウトは本件争議に対抗する防衛的手段としては相当性を逸脱した過剰な所為というべきであるから本件ロックアウトが厳格な要件を具備した正当なものであったとは解しえない。
三 賃金
(一) 疏明資料によれば、申請人らの本件ロックアウト前三か月(ただし申請人市原喜好については二か月)の月額平均賃金は左記のとおりである。
記
申請人市原喜好 金四一万六七八五円(日額金一万三二七九円)
同佐々村忠夫 金四三万〇三九五円(日額金一万三八八三円)
同新井末吉 金四二万〇五〇三円(日額金一万三五六四円)
同市原喜與明 金四一万七八一〇円(日額金一万三四七七円)
同増田肇一 金四一万八八六五円(日額金一万三五一一円)
同宮崎安満 金二二万四二九二円(日額金七二三五円)
同吉村良一 金四二万九八四二円(日額金一万三八六五円)
同石山勇 金三一万五四四六円(日額金一万〇一七五円)
同柳承運 金四二万〇二一六円(日額金一万三五五五円)
(二) 本件ロックアウトは六六日間にわたって継続され、その間の給与として会社から申請人らに支給されたのは社会保険料会社補助金名下の金員(申請人宮崎一万六五六〇円、同石山二万八一五二円、その余の申請人各三万三九四八円)のみであるから、申請人らは会社に対して、ロックアウト中の未払賃金として、左記の金員の支払いを請求する権利を有している。
記
申請人市原喜好 金八二万九一八七円
同佐々村忠夫 金八六万八四四七円
同新井末吉 金八四万七七一二円
同市原喜與明 金八四万二〇五七円
同増田肇一 金八四万四二六七円
同宮崎安満 金四五万三七一五円
同吉村良一 金八六万七二七七円
同石山勇 金六三万三二二三円
同柳承運 金八四万七一二七円
四 必要性
本件申請は、過去の賃金の仮払いを求めるものであるが、申請がなされたのはロックアウト中の本年八月二九日であること、申請人らは未払賃金のうち生活を維持するために真に必要と思われる金員に絞って仮払いを求めていること、申請人らは現在まで生活してきているが、求める金員は本決定時前四か月以内に支給されることとなっていた賃金であるから、その不払いが申請人らの生活にとって大きな負担となっていることは想像に難くないこと等に照らすと、申請人らのうち生コン車運転手七名が、ロックアウト解除後も一一月一二日まで就労しなかったこと(ロックアウト中の賃金について、その解除後労使間で紛議が生じ、申請人らが一・七五立方米の積載を要求したのに対し、会社が二立方米の積載を断固譲らなかったことが原因。)、その七名も一一月一三日からは平常どおり就労して賃金を得ているという事情があったとしても、申請人らが本件申請にかかる金員の仮払いを求める必要性の存在は十分に疏明されているというべきである。
なお会社は、本件申請が認容されると、生コンプラント等の即時返還を迫まられ倒産に追い込まれると主張するが、プラント設備は現に会社が占有しているものであり、賃貸借契約等の解除を松尾洋瓦が主張してもこれに対し法的に争う手段も残されているのであるから、これをもって本件申請の必要性が消滅するとはいえない。
五 結論
以上の次第であるから、本件仮処分申請は理由があるのでこれを認容し、訴訟費用については民訴法八九条を適用して被申請人に負担させることとする。
よって主文のとおり決定する。
(裁判官 野村直之)
賃金目録(一)
<省略>
賃金目録(二)
<省略>